ただ今の趣味は軽い焼き物蒐集でございます
趣味や嗜好と言う物は、年齢や環境に応じて常に流動する物だと思っていましたが、まさか自分が焼き物にハマる日が来るとは思ってもみませんでした。
焼き物と言っても、高価な物を蒐集するのではなく、値段を問わず気に入った物を手元に置くと言った具合なのです。
それが100万円の器であれ、100円の器であれ、自分の好みに合えば欲しくなってしまいます。
一応のルールとして、10万円を超えたら一度冷静になるとしています。
そのルールのおかげか、いまのところ大失敗するようなことは無いのですが、それはつまり10万円未満の物であれば即決してしまうと言うことでして。
現在私のコレクション棚はなかなかに煌びやかな事になっています。
どうも私は豪奢なデザインが好きなようで、主に有田焼が我が家の主役となってますね。
先日も有田焼の湯飲みを買ってしまいましてね、値段は然程でもないのですが、丁寧に桐の箱に納められた姿を見るととても高価な品のよう思えて来まして、ここらでそろそろ逸品の一つでも持っても良いのではないかと考える今日この頃です。
これまで目を惹かれた輝くような姿ではなく、淡雪のような白を基調としたもので、鉄紺でさらりと流すように描かれた松竹が美しかった。
あれで一杯やれたらさぞかし美味いでしょうね。
気に入った器で、自慢のコレクションを眺めながらの晩酌がここしばらくの唯一の楽しみですよ。
このささやかな楽しみを細君は理解できない様子で、いつも苦い顔をしていました。
自分の小遣いの範疇で楽しんでいるだけだと言うのに、無駄遣いだのなんだのとすぐに文句を垂れて。
女と言うのはなぜああも、他人の趣味にケチをつけたがるのでしょうね。
私の友人のように一本数百万もするようなギターを、弾きもしないのに次から次へと購入すると言うのならそれはまあ小言の一つも言いたくなるのは分かりますが。
私の趣味など、高くとも一つ10万ですし、毎月その数を増やしているわけでもない。
数と値段で言えば妻の化粧品の方が圧倒的に上だと思います。
まあ、それを一言指摘してしまうと10倍や100倍できかない反撃を喰らってしまうのですがね。
まったく女の涙は武器と言いますが、いやいや、あの留まることを知らん口の回り方こそが真なる武器でしょう。